SSO新製品レビュー:東芝4K液晶テレビに”重低音バズーカ”復活。その名に恥じないサウンドに感激 – Stereo Sound ONLINE

2017年5月23日/木村雅人

 今回のステレオサウンドオンライン新製品レビューは、東芝の4K液晶テレビREGZA 55BZ710Xを紹介する。この製品は昨年から追加されたZ700Xシリーズの後継機として位置づけられていて、レグザシリーズ唯一のIPSパネルが採用されたモデルだ。東芝ユーザーであれば“バズーカ(BAZOOKA)”スピーカーの復活もちょっとした話題であろう。今回はZ700Xからの進化とバズーカシステムの音質を探ってみたい。

 55BZ710Xのラインナップは55V型と49V型の2モデル。映像の要であるIPSパネルはZ700Xシリーズから引き継がれており、各部を刷新する事により画質向上を図っている。

東芝の4K液晶テレビ、BZ710Xシリーズを取り上げる。今回試聴に使ったのは55V型の「55BZ710X」(オープン価格、想定市場価格¥300,000前後)。ラインナップに49V型「49BZ710X」オープン価格、想定市場価格¥250,000前後)もある

東芝の4K液晶テレビ、BZ710Xシリーズを取り上げる。今回試聴に使ったのは55V型の「55BZ710X」(オープン価格、想定市場価格¥300,000前後)。ラインナップに49V型「49BZ710X」オープン価格、想定市場価格¥250,000前後)もある

入力映像信号をすべて4Kにアップコンバート

 映像回路は、最上位のZ810Xシリーズで採用されている「レグザエンジン Beauty PRO」を装備。新開発のLED直下型バックライトとエリア制御の高精度化(従来比の2倍)で、従来モデルの約500nitsに対して本シリーズでは700nitsの明るさを実現している。

 地デジの画質を改善する、「地デジ ビューティPRO」機能が搭載されたのも大きい。この機能は地デジの解像度1440×1080を4Kアップコンバート時に5種類の超解像処理等を施し、ブロックノイズや映像のグラデーションを改善するというもの。

 面白いのはリアルタイムで見ている放送波だけでなく、USB HDD録画や外部レコーダーの再生映像、ゲーム入力、ネットワーク配信された映像など、すべての映像に対しても効力を発揮できること。さらに、入力信号に合わせ、機能を使い分けるというから頼もしい。ただし、ゲームモード等の低遅延モードの場合は「効果が弱まる場合もある」(同社回答)との事なので留意いただきたい。なお、「地デジ ビューティPRO」機能は、上位機種である4K有機ELレグザX910と4K液晶レグザZ810Xの両シリーズにも5月下旬のアップデートで実装される予定だ。

背面パネルにHDMI入力を2系統を装備。さらに正面から見て左側面にもう2系統が備わる

背面パネルにHDMI入力を2系統を装備。さらに正面から見て左側面にもう2系統が備わる

リモコン下部に「重低音」ボタンがある

リモコン下部に「重低音」ボタンがある

シアターバー要らずの充実したサウンド機能

 55BZ710Xのサウンドはもちろんバズーカオーディオシステムが担う。背面を見るとバズーカオーディオ専用スピーカーボックスが、砲塔の様に横たわっているのが確認出来るだろう。サウンドバーがテレビと一体化したかのようなデザインだ。薄さをあえて犠牲にして、テレビの音質改善を狙っているのが分かる。

 スピーカー構成は30mmシルクドームトゥイーターと、30mm×960mmフルレンジのバスレフ型スピーカー2基。これが正面に向けて配置されている。そしてオンキヨーと共同開発した60mm重低音用円筒状ウーファー1基が背面中央に置かれ、左右のポートから低音が排出される仕組みだ。なおリモコンには重低音専用ボタンが設けられ、低域の音量が「大/中/小」から選択できる。

 アンプはマルチアンプ駆動とし、トゥイーター用に8W×2、フルレンジ用に15W×2、ウーファー用に20Wで、合計出力66Wの布陣となっている。さらに低音域から高音域まで、合計1792バンド制御を実現する「レグザサウンドイコライザー アドバンス」と、高級オーディオに採用例の多い音のインパルスレスポンスを改善する「インパルス再現技術」も装備されている。

 55BZ710Xのスピーカーレイアウトや高音質機能は、このクラスでは異例とも言えるだろう。開発陣の意気込みが感じられる内容は「テレビとシアターバーを買うくらいなら……」と思っているのかもしれない。

 最近のテレビは多機能すぎて、紹介するだけでかなりの文字数となってしまう。その他の機能や詳細は下記の発表会リポートをご覧いただきたい。

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背面下部にある膨らみが復活したBAZOOKAことバズーカオーディオ専用スピーカーボックス。ぼっこりと円筒形に突き出しているのが分かる。これでも奥行きは189mmに抑えられている

背面下部にある膨らみが復活したBAZOOKAことバズーカオーディオ専用スピーカーボックス。ぼっこりと円筒形に突き出しているのが分かる。これでも奥行きは189mmに抑えられている

前面、液晶パネルの下部にフロントスピーカーが埋め込まれている

前面、液晶パネルの下部にフロントスピーカーが埋め込まれている

いよいよ視聴スタート! まずは設定をチェック

 筆者の部屋に55V型の「55BZ710X」を持ち込み、視聴を行なった。4K映像の実力を確認するため、パナソニックのDMP-UB900を用意。UHD BDソフトには「インディペンデンス・デイ・リサージェンス」を使った。ネット動画は Netflix で配信されているアニメ作品「シドニアの騎士」(HD HDR)を視聴。地デジビューティーPROの画質を確認するのに、各局をザッピングしながら視聴した。画質モードは映画作品では『映画プロ』。アニメや地デジ番組では『標準』を選択。画質設定は『デフォルト』のままとし、「明るさ検出」と「フレーム補完」のみを『オフ』にしている。

 音質設定は各設定で聴き比べて決めた。その結果、音質モードに当たる「音声メニュー」は『映画』と『標準』を使い分け、「重低音」は低域が素直に感じられる初期設定の『中』を選択している。なお本機の素の音を確認する為、サラウンド効果はオフとした。

イラストで表示して、内容をイメージしやすい「音声メニュー」。今回は『映画』と『標準』を使い分けた

イラストで表示して、内容をイメージしやすい「音声メニュー」。今回は『映画』と『標準』を使い分けた

重低音は「大/中/小」の3段階に調整が可能。リモコンのダイレクトボタンで操作できるのが便利

重低音は「大/中/小」の3段階に調整が可能。リモコンのダイレクトボタンで操作できるのが便利

4K画質、HD画質とも暗部までしっかり再現

 55BZ710Xの映像はレグザらしいキレのある映像はそのままに、光の再現力の良さが印象的だった。筆者は以前この連載で55V型の55Z700Xを取材しているけど、明るさの面でかなりの違いが感じられたのをお伝えしたい。

 「インディペンデンス・デイ・リサージェンス」の4K映像はノイズ感の少なく、暗部の再現力もなかなか。指令室内での会話シーンでも、暗がりで俳優の表情がわかりにくい、といったことも見受けられなかった。これはエリア制御の高精度化による恩恵だろう。

 「シドニアの騎士」はHD作品であるが、HDR化によって色の発色や透明感が魅力的に仕上がっている。宇宙空間を疾走する主人公機である継衛(ツグモリ)のヘイグス機関(いわゆるジェットエンジンのような推進機関)から出力される蒼い光は、思わず目を細める程の眩しさだ。かといって背景とのコントラストはしっかりと保たれている。先程のエリア制御に加え、新開発のLED直下型バックライトが功を奏しているのが良く分かる映像だ。

 地上デジタル放送は白ピークのキレの良さと、地上波で起こりがちな肌の色飛びが少ないのが好印象だ。字幕やテロップも比較的カチっとしていて読みやすい。ただし、ロケ番組やバラエティ、ニュースの現地インタビュー等でブロックノイズが目立った。これは撮影環境によるものだろうが、放送の画質クォリティによっては効果が限定的だった点はお伝えしておきたい。

シドニアの騎士の試聴で映像メニューに『アニメプロ』も試したが、最終的に『標準』とした

シドニアの騎士の試聴で映像メニューに『アニメプロ』も試したが、最終的に『標準』とした

Netflixで配信されているシドニアの騎士は、HD画質ながらHDRに対応している。本機でもHDR信号が入力されていることが確認できた

Netflixで配信されているシドニアの騎士は、HD画質ながらHDRに対応している。本機でもHDR信号が入力されていることが確認できた

豊富な低域が音の実在感を生み出す

 55BZ710Xのもう一つの特徴でもある音質はどうだったか。筆者の素直な意見を一言で述べると、艶のある音で実在感のあるサウンドだと感じた。60mm重低音用円筒状ウーファーによって音の重心がグッと下がり、一般的なテレビよりセリフが聞き取りやすい。“バズーカ(BAZOOKA)”のネーミングからして重低音を誇張するイメージが感じられるが、決してそうではなかったと聴いて思った次第。それでいながら、ここぞと言う時には押しの強い爆発音も感じさせてくれる。必要にして十分と言えるだろう。

 もちろん重低音をいっそう楽しみたければ効果を大にするのもいい。中低域に若干のピークを感じたが、テレビの内蔵スピーカーとしてはこれが限界なのだろう。そして何より、ボリュウム設定に慣れないうちは、突然の爆音で近所迷惑になりかねないので注意して頂きたい。

 55BZ710Xの音質についてもうひとつ紹介させて頂きたい。それは、音の定位の良さだ。テレビのスピーカーにしては奥行の感じられる明瞭なサウンドには関心させられた。画面の中央に座れば、楽器や効果音の位置関係が分かりやすい上、ステレオイメージも感じられる。筆者が思うテレビのサウンドクォリティに新たな経験を与えてくれた。

 純粋に音質を試したくなり、DMP-UB900にソフィー・ミルマンのCD『Sophie Milman』をセットし「AGUA DE BEBER」聴いてみた(音質設定は標準、重低音は中を選択)。そのクォリティは予想通りなかなかのものだった。質感のあるベースやキレの良いヴォーカルは、ちょっとしたBluetoothスピーカー顔負けなサウンド。これならリビングで心地よく音楽を聴くには申し分ない。もし本機にBluetooth接続やAir Play機能があって、スピーカーのみ作動するモードがあったらもっと使い方が拡がったように思う。

 東芝レグザ55BZ710Xはオーディオビジュアル製品として、バランスの良い仕上がりを感じさせてくれた。映像面では前モデルを基準に新たなデバイスを投入した結果、コントラストが良くなってHDRの再現性が進化した。また最近のテレビのサウンドを一蹴するかのような“バズーカ(BAZOOKA)”のコンセプトも面白い。ただ音質重視の本体デザインは設置環境を選ぶと容易に想像がつく。今回は、音もサウンドも楽しめる、オーディオビジュアル製品の魅力を存分に味わえた取材であった。

視聴を行なったのは、本コーナーではおなじみ木村さんの部屋

視聴を行なったのは、本コーナーではおなじみ木村さんの部屋

<SPECIFICATIONS>
TOSHIBA 55BZ710X オープン価格(想定市場価格¥300,000前後)
●液晶パネル:IPS方式
●バックライト:直下型LED
●解像度:水平3,840×垂直2,160画素
●チューナー:地デジ/BS/110度CSデジタル×3
●接続端子:HDMI入力端子4系統、AV入力端子1系統、デジタル音声出力端子(光)1系統、ヘッドホン出力端子(3.5mmステレオミニ)1系統、USBタイプA端子2系統、LAN端子ほか
●寸法/質量:W1240×H748×D189mm/19kg(スタンド含む)

筆者・木村雅人氏の試聴/視聴ポリシーはこちらからご覧ください


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